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◆『オタクの迷い道』#115 下品は嫌いですか?(1) NHK・BSマンガ夜話。 毎回一つのマンガをとことん語るトーク番組だ。もちろんギャグマンガも取り上げるが、ここで問題が生じることもある。 お上品なNHKが、下品なギャグをオンエアできるのか?『がきデカ』の回も、ちょっと問題になった。 ギャグが下ネタに集中している。こまわり君が股間を手ぬぐいで拭くと真っ黒に汚れる。 この「真っ黒な汚れ」、なまじ絵が劇画調でうまいから、インクの香り以外の、素敵なサムシングが漂ってくる。 しかし、この下品さは「少年誌でここまで描く!」という「権威への反抗」「表現への挑戦」のための下品なのだ。単なる下品ではない。 オンエア問題なし!『ナニワ金融道』だって絵は下品だ。 いや絵だけではない。セリフもお話も、全て下品だ。 しかしそれも「人間の本質は極限であらわれる」という作者の主張のためであり、あえて露悪的に、えげつなく描いているだけだ。いわば「人の世の本質は下品にあり!」という作者の主張を表現するための下品である。虐げられたプロレタリアートの下品。 もちろん放映はOKである。 しかしなぁ、先日オンエアされた『嗚呼、花の応援団』は違うんだよ。 作者はただ単に、本当に下品好きなのだ。「人間みんな、ウンコチンコマ○コが好きやねん!」という信念のもと、大阪特有のコテコテなサービス精神で、誌面一杯にウンコチンコマ○コがあふれているのだ。 僕だって下品マンガは嫌いではない。目を背ける女子には「見ろよ!」と背徳の喜びを伝授するにやぶさかではないのだ。 しかしここまで「下品大盛りツユだく」では、さすがの僕でさえ「いえ、僕はパリのエスプリが効いたユーモアが好きで」とか口走ってしまう。 それほど下品なのだ。 絵柄自体が、汚い。ヘタというレベルを越えている。 下品エキスをインクにして描いたような絵だ。セリフもキャラクターも背景も、「このシーンが」とTVでアップにするのは不可能な画面が頻繁に登場する。 というより、全てのページになんらかの問題がある。 中でも一番すごいのは、主人公・青田赤道を恋い慕う超ブサイクな少女・みすずちゃんである。 身長3メートル、体重三百キロ超。このマンガ史上最凶のキャラクターは、セリフの語尾に必ず「チ×ポ、キ×タマ、オ×コ」のどれかをつけるのだ。 もちろん、何の説明も意味性もない。ギャグですらない。 シリアスな場面でも「なんでうちのこと、好きになってくれへんのチ○ポ」と嘆く。父親が慰めて、そっと二メートルはある肩を抱くと、「尽くしても尽くしても、なんで振り向いてくれへんのキン○マ~!」とか泣き叫ぶのだ。 こんなものを天下のNHKが放映していいのだろうか? 案の定、生放送本番の直前、突然プロデューサーから発表があった。(続く)(近況)おかだとしお (gfg04070@nifty.ne.jp)連載が二つ終了してちょっと虚脱。「あっ、このままでは喰っていけない」などと焦り出す。出版界の皆さん、上品で面白いコラムの御用はありませんでしょうか?◆『オタクの迷い道』#116 下品は嫌いですか?(2) NHK・BS2の名物番組『BSマンガ夜話』の生本番30分前、楽屋に緊張が走った。 今夜の作品は『嗚呼、花の応援団』。どのページをめくってもウンコ、チンコ、マ○コがあふれる素晴らしいマンガだ。 こんなマンガをNHKが紹介していいのか?「NHKではなく、私個人の見解ですが」 担当プロデューサー氏は今夜の注意点、と前置きして話し始めた。「この作品を取り上げるからにはそれなりの覚悟をしました。作品を紹介する流れ上、不自然でなければ生本番中にチンポ、キンタマは致し方なし、とします」「お~~!」 思わず、感動の声があがる。 僕と同様、他の出演者達も大丈夫か、と心配していたのだろう。NHKで本番中にチンポ、キンタマと言ってもOK!これほど男心をくすぐるシチュエーションがあっただろうか?「よかった~。みすずちゃん、OKなんだぁ」夏目房之介が喜ぶ。 そう、問題はマンガに登場する史上最凶のキャラクター・みすずちゃんだ。彼女はセリフの語尾に必ず「チンポ、キンタマ、オメコ」をつける。しかも主人公・青田赤道に惚れてシリーズ後半ではストーリーそのものを引っ張る重要なキャラなのだ。 彼女を語らずして『嗚呼、花の応援団』は語れない。 大月隆寛は「じゃあ、オメコはどうなんだ?」と訊いた。「そう、オメコだよ!」と、いしかわじゅん。「オメコがダメなら意味ないよな!」 不自然なほどムキになって主張する。ダンディなふりして決めるところは決めるヤツだぜ、いしかわ!「みなさんのおっしゃりたいことはわかります。しかし!オメコに関しては、今回は御容赦願いたい」 聞くが早いか全員が立ち上がって叫んだ。「いくらチンポ、キンタマがOKでもオメコがダメならしょうがないよ!」「セリフが紹介できない!」「オメコはこの作品そのものに関わるセリフだよ!」 このままでは日本の放送文化の火が絶えるが如き大激論だ。あぁみんな本当に、本当にマンガを愛しているんだなぁ。 それなら僕も、と尻馬にのってオメコオメコと連発する。こんなにオメコと連呼したのは、中学二年の秋からこっち初めてだ。 しかし、さすがはプロデューサー、全員を一瞬で黙らせた。「皆さんのお気持ちはわかります。しかし!ここでオメコと言ったばっかりに、シリーズを重ねてきたBSマンガ夜話が放映打ち切りになってもいいんですか?」 みんなもつきものが落ちたように納得してしまった。 たしかに『嗚呼、花の応援団』で、それもオメコが原因で番組打ち切りはイヤだ。イヤすぎる。「オメコに関しては、お目こぼしください…」 思わずつぶやいた僕を思いっきり無視して、リハーサルは始まるのだった。(近況)おかだとしお (gfg04070@nifty.ne.jp)七月六日(木)19時より新宿ロフトプラスワンでこの連載のライブ版トークをやるぞ。「さわやか合コン部・その後」「セバスチャン来日」など濃いネタ満載だ。***************************************************旧オタキングスペースポート「おたくの迷い道」#115~#116 よりhttp://go.otaking-ex.com/BPHuoB9S "